西欧が見たアンコール

アンコールワット、アンコールトムを中心にした巨大な都は、往時、満々と水をたたえた貯水池と水路に囲まれ、西欧人来訪者をして「世界で最も美しく、清潔な都城」と感嘆せしめた。当時の姿を再現し繁栄と没落の謎に迫る名著。

目次

アンコール朝の繁栄と没落 (石澤良昭)

まえがき(ベルナール・フィリップ・グロリエ)

第一章　首都アンコール放棄以後のカンボジア
　　　　　　――　一四三一年から一五九四年まで

　一、はじめに
　二、アン・チャン王
　三、パロム・レアツチア一世
　四、サータ
　五、一四三一年以後のアンコールの運命

第二章　西欧によるカンボジアの発見

　一、初期のカトリック伝道活動
　二、カンボジアにおける西欧の冒険一旗組
　三、ディオゴ・ベロソ
　四、イスパニアヘの要請
　五、イスパニアの介入
　六、ガリィナト将軍のカンボジア遠征
　七、イスパニアの保護の下にパロム・レアッチア二世の復帰
　八、救援要請
　九、ダスマリニャスの遠征
　一〇、イスパニア支配の終末-シャムの台頭
　一一、一大叙事詩の終章イスパニア・ポルトガル以後のカンボジア
　一二、イスパニア、遠征を断念

第三章　アンコール関連ポルトガル・イスパニア史料

　ディオゴ・ド・コートの未公開草稿
　一六世紀に書かれたアンコール地方の記録
　アンコール都城についての諸報告

第四章　一六世紀のアンコール

　一、アンコール・トム
　二、アンコール・ワット
　三、アンコール遺跡群
　四、アンコール・トムの水利網
　五、クメール文明における経済要素
　六、クメールの農業水利
　七、アンコール時代の都城
　八、アンコール時代の経済と社会
　九、クメール秩序体系の弱点

第五章　一七世紀〜一九世紀のアンコール

　カンポジア伝承とアンコール
　一七世紀・一八世紀の西欧の書物に載ったアンコール
　イスパニア人最後のアンコール旅行
　オランダ人・日本人が見たアンコール
　フランス人の旅行と証言
　アンコールの復活

第六章　ポルトガル・イスパニア史料が語る一六世紀のカンボジア